tsuneメモ

読書・勉強メモ、思いついたこと、普段の日記など。

読んだ本 vol.3 (2024/1/14 - 2023/3/21)

ここ最近は結構読んでる気がする。

積読もそれに伴って加速していて、結局のところ積読消化に至らないというジレンマ。

 

 

☆☆☆ 薬物とセックス / 溝口敦

  • 友人に薦められた。自分じゃ絶対手に取らなかった本。
  • 有名人のやっちまった話が幕開けで爆笑した。
  • 全体的に週刊誌っぽいノリだが、3章4章など一部は薬理学・経済学的な説明があって面白い。「アンフェタミン」という成分名だけ覚えた。

目次

第1章 なぜカップルで使うのか?
第2章 覚醒剤とセックスの関係は?
第3章 薬物の闇ビジネスはどうなっているか?
第4章 なぜコカインは高級品なのか?
第5章 暴力団との関係は?
第6章 廃人はいかにして作られるか?

 

★☆☆ アンドロイドは電気羊の夢を見るか? / Philip K. Dick

  • 現代SFの名旗手と謳われたPhilip K. Dick。こちらもこの作家が好きな友人がおり薦められた。とても面白かった。
  • 設定が奇抜すぎて脱帽。廃惑星と化した地球に住む主人公。移住先である火星から逃亡してきた奴隷アンドロイド。彼らを狩って懸賞金を稼ぎ、社会的ステータスである「生きた動物」を飼うことを夢見る...
  • 「ディック感覚」と名前がつくほどの現実が崩壊していく感覚を存分に味わえる。生命の境界、自己と他者の境界が曖昧になる感じが非常に良い。何が信じられて、何が信じられないか。
  • 著者が薬をやっていたことがおそらく関係して、精神病弱なキャラクターの語り口には独特の歪さがある。

 

★☆☆ だれが原子をみたか / 江沢洋

  • 「サピエンス全史」で科学史への関心が高まり、本書をチョイス。
  • 物理オタクとしては初めにBrown運動を持ってくるという構成だけで興奮した。
  • 物質は原子からできており、原子は原子核と電子から成る、ということを当たり前に飲み込んでいるが、人がそう信じるようになったのはいつからか?何をきっかけに信じるようになったのか?を掘り下げていく。
  • Borle-Charlesの法則に始まり、Gay Lussacの気体反応の法則、エネルギー等分配則、そしてBrown運動。歴史の中で発生した反論が紹介され、どこで矛盾が起こるかを読者に考えさせようとする。
  • 自分たちで歴史の追実験をした報告も載っている。現実世界には普遍の(=いつでもどこでも同じ)自然法則が実装されており、それを理論として抜き出しているんだという感覚を、ある程度の手触りを以て感じられる。また実際に水銀柱で大気圧を測るにはどうやって実験系を組めば良いか。理論を実証するために実験系に落とし込む過程はエンジニア的にも参考になった。
  • 途中、科学哲学にも触れられている。Francis Baconにより、実験や観察に基づいて一般法則に帰納的に辿り着くべきだという主張が、17世紀という早い時期になされたことはかなり意義深かったんだろうと思う。

目次

第1章 ブラウンの発見
第2章 原子論のはじまり
第3章 大気と真空
第4章 気体の構造
第5章 反応する分子
第6章 とびまわる分子
第7章 分子の実在

 

★★★ やがて君になる 佐伯沙弥香について / 入間人間

  • やがて君になる」は僕が最も好きな作品であり、スピンオフ小説も読んでみたいと思った。
  • 入間人間さんは「安達としまむら」などで知られる百合小説作家。
  • 最高。素晴らしい。
  • 言い回しというか感性というか、そういうものが自分と完全に合ってた。自分が物事に対して感じる感覚を、そのままの形で文章に落とし込んであって。原作に負けず劣らず、心情描写とはこういうものかとつくづく納得させられる。
  • どのページを開いても好きな行が見つかる。
  • (1) p9 傲慢なことを言うなら、自分ができる人間なのだと早々に知った。この場合のできるというのは、努力を重ねれば成果が出るということ、そしてその継続ができるということ。その二つの価値と意味を、私は他の子より早く理解したのだと思う。
  • (2) p91 「燈子。あなたは、美人よ。」この際だからはっきり言っておく。なにがこの際なのかは正直分からない。
  • (2) p135 「高いものを取ろうとしてずっと上を向いていると、変に見えるから......かもしれないわね」そして周りに少し笑われるだけで、夢は萎んだりしていくものだ。だからその胸の内を明かせると思える相手がいるなら、それはとても幸せなことだと思う。
  • (3) p9 感情の回転率がいい、と彼女は言った。
  • (3) p125 一度失敗すると、変に賢くなって臆病になる。祖母が以前、そんなことを言っていた。今の私はまさにその通りで、だけど。賢くなることはきっと、悪いことじゃない。
  • (3) p165 足を止めると、追いかけてきた熱気が距離を詰めるように一斉に私を包囲する。走り抜けたことを、ほんのわずか後悔するほどには。
  • 入間さんの他の小説も読みたい。そう思っていくつか積んだ。

 

★★☆ 好き好き大好き超愛してる。 / 舞城王太郎

  • 六本木の「文喫」というお店にヨルシカ展を見に行ったときに出会った。
  • この本もスーパーめちゃくちゃいい。先ほどの入間さんが「感覚」をそのまま文章に落とし込んだ感じなのと比較すれば、舞城さんは「思考」をそうしているように感じる。
  • だから結構めちゃくちゃで夢を見ているような感じ。けどその中にポッと光る道標のような言葉が散りばめられている。

p44 「友達とはこうするもの」という意識は「こうしておけば友達として間違いがない」という気分も作り、そうするとなにか相手に手を抜いているような(手を抜かれているような)気分になって、いかにもその「友達」や「友情」が偽物めいて感じられてしまうんだろう。

p121 「あんたのこれまでの六人があんたとうまくいかなかったの、あんたが六人も七人もイヴを作るような人間だったからじゃないの?皆何となくあんたのそういうのに気づいてて、それで、ちゃんと生き延びてけるくらいにあんたとうまくやれなかったんじゃないの?」

p161 人は心臓が止まったり脳が動かなくなったりして死ぬんじゃない。死はもっと、誰かが思ってるよりもずっと緩やかに始まり、終わるのだ。

 

☆☆☆ 雪国 / 川端康成

  • 僕は自分が思っているよりも日本人なんだと最近自覚した。それで日本文学にももっと親しみたいと思って最初の1冊にチョイス。
  • のだけれど、めちゃくちゃ難しかった。暗黙の了解みたいなのがめちゃくちゃあって、170ページしかないのに500ページくらい読んだ気分。当時とは常識も違うし、知らない言葉ばっかりで、今の自分では味わいきれてない。
  • レベルアップしたら再戦する。

 

★★☆ 人間失格 / 太宰治

  • 日本文学2冊目。
  • 自殺未遂をたびたび繰り返し、最後には入水自殺を遂げた太宰。その間際に執筆された。とにかく文章が暗い。
  • 何だか悔しい気分になる。納得できることが結構書かれているから。

p100 ああ、人間は、お互い何も相手をわからない、まるっきり間違ってみていながら、無二の親友のつもりでいて、一生、それに気付かず、相手が死ねば、泣いて弔詞なんかを読んでいるのではないでしょうか。

  • でもだからといって腐って自暴自棄になって巻き込んで、それでいて表面上は器用に取り繕えるから羨ましいほどの幸せが寄ってきていて。それが許されるような過去を経ているわけだけど... 上手く文章にならない。
  • 自分が恵まれていることを認めるのが難しいとか、結局人は本当のところで分かり合えないとか、そういう気持ちを分かちあうことでも他人とは真に繋がれるはずだと、僕は信じたい。

 

★☆☆ それからはスープのことばかり考えて暮らした / 吉田篤弘

  • これも友達に勧めてもらった。
  • 幸せが充満していた。
  • 何気ない日常。ほんのりと憂鬱や悩みを抱えたり、何かに打ち込んだり、ちょっとぶつかったり。幸せと聞いてパッと想像するようなハレの幸せではなくて、身の回りを流れるケの幸せが魅力いっぱいに描かれていた。

p142 が、〈トロワ〉で働くようになって、店先で直接お客さんと顔を合わせているうち、仕事というのは誰かのためにすることなのだと当たり前のことに思い至った。

p265 何も起こらず、何も動かず、何も変わらないのに、それでもやはりうつろいゆくものはあって、動かないものとうつろいゆくもののあいだで、無力な町の人たちは、しばしば迷って言葉を失う。

 

☆☆☆ じぶん・この不思議な存在 / 鷲田清一

  • 高校生の国語の授業で使った本。自己と他者について考えたくて掘り起こした。
  • 当時の僕は、この本に書いてあることを自分ごととして捉えるという発想が出てこないほどには、遠い世界の話だと思っていた。
  • 一貫して本書の主張は下記の通り。

p104 わたしたちの自己理解の構造を分析したり、あるいはじぶんの内部をのぞきこんで、じぶんのどういう特質がほんとうのじぶんなのだろうかと考えても、たぶん答えは出てこないだろうと思う。じぶんとはなにかと問うて、じぶんが所有しているもの、他人になくてじぶんだけにあるものを求めても、おそらくじぶんは見えてこない。

  • 自分探しみたいなものから抜け出すには良いヒントだと感心する一方、他者との関わりをコントロールしようと考えてしまう自分はではどう捉えれば良いのか。そんなことを思い浮かべた。
  • にしてもこれを高校生に読ませていたあの先生は結構いい性格をしていたんだなと思う。他に読まされた本も「キッチン」「こころ」「塩狩峠」とかで尖り散らかしたチョイスだったなと。今喋ったらめちゃくちゃ楽しそう。

目次

1 爆弾のような問い
2 じぶんの内とじぶんの外
3 じぶんに揺さぶりをかける
4 他者の他者であるということ
5 「顔」を差しだすということ
6 死にものとしての「わたし」

 

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読んだ本 vol.2 (2023/9 - 2023/1/13)

年末年始にかけて読書欲が急上昇中。

今年の目標は積読消化なので、この熱が冷める前に読み耽りたいと思います。

どうも小説は読み慣れていないので評価が高くなりがちのようです。そのうち下方修正するかも。

 

 

× 熱力学で理解する化学反応の仕組み / 平山令明

  • 熱力学への理解を深めたくてチョイス
  • と思ったのだがはっきり言って悪書。
    • 3章のエントロピーの説明がめちゃくちゃで厳しい。「位置エントロピー」「熱エントロピー」という謎概念(僕が無知なだけかもしれません)が登場する。さらにエントロピーの説明のために場合の数を具体的に求めながら話を続けるので、算数に気が取られるのも痛い。
    • スピリチュアルな話が結構な頻度で出てくる。これ自体は嫌なことではないのだが、繰り返し登場すること、さらにはどうもこれら教義を科学と同列な真理のように考えているようで、私とは立場が合わなかった。
  • 極め付けは4章p122。

物理学は、私たちの自然認識の最も基本的な法則性に関する論理体系と言えます。しかし多くの物理法則が検証されてきた中で、現代の物理学が、絶対的な真理として認めているものは、実は熱力学の第二法則(エントロピーは増大する)のみです。相対性理論も含め、多くの理論がまだ理論の域を出ません。

  • ちょっとこれは看過できない。相対性理論量子力学が理論の域を出ない(あるいは間違っている)と考えている物理学者は一人もいないと思う。これまで提唱されてきた物理理論は数多くの実験事実に支えられたものであり、基礎研究から産業応用まで含めて普遍的に正しいとして人間の活動が計画されている。もし今後物理が発展するとしても、こうした過去の理論を拡張するような形でしかあり得ないと私は思う。また逆に、熱力学第二法則については本書に書かれているような範囲では不十分であり、マクスウェルの悪魔のように情報を含んだ形「情報熱力学」に拡張できるということが明らかになりつつある。
    ※ 詳しくは 非平衡統計力学 基本法則から読み解く物理学最前線 とかを参照してください。
  • ということで、ここで読むのをやめた。お勧めしない。メルカリにも出さなかった。

目次

1章 「こと」を起こす根本――エネルギーとは
2化学結合エネルギー
3章 状態を表す指標――エントロピーとは
4章 自由エネルギー
5章 反応の方向を決める――化学平衡
6章 反応(こと)が起こるスピード

 

★★☆ 傲慢と善良 / 辻村深月

  • 友人にオススメされた。かがみの孤城が結構好きだったので、ウキウキしながら読み始めた。

かがみの孤城 文庫 上・下巻 セット

  • 婚約者失踪の謎を追うというのがメインプロットだが、婚活を中心とした強烈な現代風刺小説。
  • もはや特級呪物。考えないように訓練してきたことを全部剥ぎ取られるような感覚。もう止めてと思っても止めてくれない。それが心地良くも感じる。一方で、自分の悩みをこんなに解像度高く普遍的に描かれてしまうと、何だかなあという気持ちになってしまう。
  • 後半ではこうした社会問題に対して、一種の解決策を提示しているようにも感じた。
  • 本書で提示された「傲慢と善良」の問題について、前回記事で紹介した「現代思想入門」の Michel Foucault の考えを踏まえて。

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  • 根本としてはSNSやマスメディアを通じて他人との(表面的な)接触が過剰に増えたことが原因なのだろうと思う。幸せの表明(実際にそうかもしれないし、そうでないかもしれない)や他者の誤ち(そうとまでは言い切れないグレーなものを含む)に対して、同調や善悪の判決が下される様子を日々摂取している(「1984」の「二分間ヘイト」に通ずるものがある)。その結果、こうするのが正しい、これは良くない、自分が無意識的に作った他者によって自分を縛り上げて「善良」となり、それと同時にこれらを守っている自分は正しいはずだと「傲慢」さが獲得される。
  • こうなってしまった現代人に対して、さらに追い打ちをかけているのは個人主義だと思う。自分で物事が判断できない、自分の好きがわからないあなたはアイデンティティーを喪失した間違った存在だと突きつけられる。実際にその矛を突きつけている主体は他者ではなく、自分が空想で作り出した他者であり、これが自己愛を低下させていく。
  • お気に入りの箇所は p137 l5。

 

★☆☆ 現代数理統計学の基礎 / 久保川達也ほか

統計学について真面目に勉強しようと思い、久しぶりにちゃんと数学書を読んだ。といっても途中まで。

  • 私にとっては理論的な厳密さがちょうど良い塩梅だと感じた。
  • 演習問題が豊富であり、サポートページで全ての解答が公開されているのは素晴らしい。気になったものをつまみ食いのように解いただけだが、骨太なものも多く、やはり手を動かすと理解が段違いに進むなと感じた。
  • ただ不親切な部分はある。例えば、正規母集団の標本平均・標本分散の従う確率分布の導出に、特に説明なく Helmart 行列と呼ばれる行列が登場する。これは1行目が全ての成分を等しく混ぜる効果、つまり1行目に標本平均の成分が出るようにし、残りをGram-Schmidtで適当に直交化したものである。一言これが書いてあるだけでかなりの読者が納得できると思う。これは読者が考えて納得すべきだというメッセージなのかもしれないが。
  • 確率・統計学を勉強して思ったこととして。中心極限定理は、要は特性関数の2次のTaylor展開であり、統計学における「線形な」現象なのだと理解した。よって以て正規分布は、力学における調和振動子のような数式美を有し、人類が確率を扱う上で基本となる。この範疇を超えるには、個別具体の確率モデルに限るか、集団の漸近的な振る舞いにのみ着目して正規近似するという戦略になるのだろう。

目次

1章 確率
2章 確率分布と期待値
3章 代表的な確率分布
4章 多次元確率変数の分布
5章 標本分布とその近似
6章 統計的推定
7章 統計的仮説検定
8章 統計的区間推定
9章 線形回帰モデル
10章 リスク最適性の理論
11章 計算統計学の方法
12章 発展的トピック:確率過程
A
付録

 

☆☆☆ 脳波の発見 / 宮内哲

  • 脳波について興味を持ち選定。
  • と思ったのだけど伝記に近く、知りたかったサイエンスのことはほとんど載っていなかった。ブルーバックスくらいのノリを期待していた。
  • 読み物としては面白かった。彼もまた長い間、功績を認められなかった科学者の一人だった。

目次

プロローグ
1 祖父リュッカート
2 布石
3 非侵襲脳活動計測と脳波
4 結実
5 逡巡
6 孤立
7 光明
8 秘密の波―テレパシーへの傾倒
9 憂愁
エピローグ

 

ー 脳の大統一理論 自由エネルギー原理とは何か / 乾敏郎ほか

  • 人工知能分野でも耳にする「自由エネルギー原理」についてざっくり知りたくて選定。
  • 2章でギブアップ。Bayes的な考え方で様々な脳の働きを説明しようとするのだが、突然現れる「注意」という概念がどうもこれ自体に意識があるような説明の仕方で、それではただ問題を言い換えただけではないかとツッコミを入れてしまった。
  • 正確に理解できていないから、批評はしない。

目次

まえがき
脳の構造
1 知覚――脳は推論する
2 注意――信号の精度を操る
3 運動――制御理論の大転換
4 意思決定――二つの価値のバランス 5 感 情――内臓感覚の現れ
6 好奇心と洞察――仮説を巡らす脳
7 統合失調症自閉症――精度制御との関わり
8 認知発達と進化、意識――自由エネルギー原理の可能性
あとがき
参考文献
付録 自由エネルギー原理の数理を垣間見る

 

★★☆ サピエンス全史 / Yuval Noah Harari

  • 全世界で2,500万部というとんでもないベストセラー。いつか読もうと思っていた。書店をふらふらしていてモチベが高まり購入。名著に相応しい感動や発見を与えてくれた。
  • ホモ・サピエンスから現在の人類が出来上がるまでを解説した通史書
  • 人類繁栄の鍵は虚構を信じる能力にある。中でも重要だったのが「貨幣」「帝国」「宗教」という3つの虚構。

  • これらを「認知革命」「農業革命」「科学革命」「産業革命」「現代革命」という5つの革命の流れの中で説明している。

  • イデオロギーと呼ばれている「国民主義」「自由主義」「消費主義」も宗教に他ならない、さまざまな形で刷り込まれているという指摘は鋭い。「いろいろ経験した方が人生が豊かになって良い」というのも「ロマン主義」という宗教らしい。

  • 下巻12章p43の図に、自然法則は人間とは無関係に存在するものであることが示されている。だから自然法則がどのような形をしているのかを明らかにする「研究」という職業が存在するし、超人間的な物を「論理」という武器で追い詰めていく物理学が好きなんだろうと思った。自然法則は美しい。

  • 科学と帝国・経済の関わり(下巻14-16章)も興味深い。科学革命は「無知の知」によって始まり、これが帝国の「未開の地を我がものにしたい」という探究心に結びつき、進歩という概念が生まれ、ゼロサムゲームに近いと思われていた経済も進歩しうるのだという気づきから「クレジット」が誕生した。得られた資金は科学へ投入され、未開の地を制圧する道具を生み出し、新たに確保された資源や労働力が経済を発展させる、強力なフィードバックループが人類の加速度的発展につながった。この結果、科学の発展には帝国・経済への利益が期待され、研究に必要な限られた資源の分配にこれらのイデオロギーがついて回った。研究計画を書いて資金を獲得する構造は大昔からあったということだ。
  • 科学史への興味も増した。物理に限って話をすると「力学」「熱力学」「電磁気学」「量子力学」のように分化されているが、初めからそうだったわけではないはず。いかにして法則を見出し、その適用限界を定めていったのか。いくつか気になる本があるので読んでいきたい。

物理学序論としての 力学 (基礎物理学1)

重力と力学的世界 上 ――古典としての古典力学 (ちくま学芸文庫)

熱学思想の史的展開〈1〉熱とエントロピー (ちくま学芸文庫)

物理学を変えた二人の男――ファラデー,マクスウェル,場の発見

相対性理論の一世紀 (講談社学術文庫) 

量子論の発展史 (ちくま学芸文庫)

だれが原子をみたか (岩波現代文庫) 

歴史年表
第1部 認知革命
第1章 唯一生き延びた人類種
第2章 虚構が協力を可能にした
第3章 狩猟採集民の豊かな暮らし
第4章 史上最も危険な種
第2部 農業革命
第5章 農耕がもたらした繁栄と悲劇
第6章 神話による社会の拡大
第7章 書記体系の発明
第8章 想像上のヒエラルキーと差別
第3部 人類の統一
第9章 統一へ向かう世界
第10章 最強の征服者、貨幣
第11章 グローバル化を進める帝国のビジョン
第12章 宗教という超人間的秩序
第13章 歴史の必然と謎めいた選択
第4部 科学革命
第14章 無知の発見と近代科学の成立
第15章 科学と帝国の融合
第16章 拡大するパイという資本主義のマジック
第17章 産業の推進力
第18章 国家と市場経済がもたらした世界平和
第19章 文明は人間を幸福にしたのか
第20章 超ホモ・サピエンスの時代へ
あとがき――神になった動物

 

☆☆☆ データ可視化学入門 / 江崎貴裕

  • 仕事で多変数のデータを分析したい場面が多くなり選定。
  •  1章に書かれている下記の指摘が重要と感じた。
    • データ可視化は「探索志向型」「説明志向型」の2つに大別される。
    • 数量を図形に置き換えることで、人間のパターンマッチング能力が活かせるようになり、伝達力上がる。
  • 2章からはケース別に手法が紹介される。
    • 平均値・標準偏差 vs 中央値・パーセンタイル点のロバスト性の話が良かった。
    • 多変数のデータ分析で生データを直接可視化する方法としてパラレルプロット、ペアプロットという方法が紹介されていた。次元削減を試す前に、これらの手法で観察を行うことも大切なように思った。

目次

第1章 データ可視化の本質
第2章 数量を把握するデータ可視化
第3章 メカニズムをとらえるデータ可視化
第4章 多変数をとらえるデータ可視化
第5章 データの分布をとらえる指標化
第6章 関係性をとらえる指標化
第7章 パターンをとらえる指標化
第8章 データ指標化・可視化のプロセス
Appendix
Pythonデータ可視化コーディング入門

 

★★☆ 1984 / Geroge Orwell

  • 傲慢と善良」から感じている現代的生きづらさのヒントとして監視社会が浮かび、そういう話ないかなーと思って探した。ディストピア小説の傑作と言われるに相応しい不気味な本だった。
  • 徹底的に思想統制された社会を描く。

    • テレスクリーン:双方向型のテレビ型デバイス全体主義を植えつけるコンテンツがひっきりなしに流れると同時に、画面を通じて常に監視を受ける。

    • 真実省:党員である主人公の勤め先。過去の記録を「修正」して党に貢献する。何年にもわたって繰り返し「修正」される歴史は、党の望むままの姿となる。
    • ニュースピーク:思考を縛るために語彙を徹底的に削減した新しい言語まで開発されている。
    • 2分間ヘイト:個人主義自由主義を唱える悪族としてゴールドスタインという人物がテレスクリーンに写り、党員が画面に向かって罵詈雑言を吐き、物を投げつける。
  • 冷戦時代に書かれたとは思えない先見性。解説にも書かれていたが、テレスクリーンや2分間ヘイトは現代のSNSに通ずるものがある。

  • だが本書の真骨頂はこうした独特の世界観ではなく、中盤以降に展開される巧妙な議論にあると感じた。極度の緊張感の下で繰り広げられるやりとりは、えも言われぬリアリティがあった。ディストピア小説だが、半分くらいは思想の本だろう。

  • 好きな箇所はp425 l15-16。

 

★★☆ 誰が勇者を殺したか / 駄犬

  • 友人にオススメされた。初めてラノベを読んだ。
  • Amazonの★4.8。高すぎんだろ... でもこのハードルをちゃんと越えてくれた。
  • 魔王を討ち取ると同時に死んでしまった勇者の謎を追う。
  • 話の構成が上手だと思った。序盤はインタビュー形式で、会話の中で説明的かつ自然に勇者たちの人物像が浮かび上がってくる。気がつくと物語の展開に引き込まれていき、あっという間に読了する。
  • エピローグとあとがきも良い。勇気をもらえるし、美味しいスイーツを買いに行きたくなる。そんな作品だった。
  • お気に入りの箇所は p225 l3-4。

 

2023年を彩った楽曲たち

晦日です。

猫に毛むくじゃらにされた実家の一室で暖房をつけてゴロゴロしています。

 

僕はよく音楽を聴きます。

通勤中、仕事中、家事中、散歩中、読書中、ドライブなど。

Apple Musicのリプレイによると、今年は50,000分以上聴いたそうです。1日2.5時間以上。

そういうこともあり、楽曲によってはそのときの思い出と共に振り返ることができます。

 

というわけで、今年よく聴いていた音楽を紹介していこうと思います。

おまけで昔聴いていた曲も書き残します。

 

 

センスレス・ワンダー / ヒトリエ

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  • 2月に草津温泉へ向かう道中、「東京大学ボーカロイド音楽論」講義」を読む中で出会った。
  • 同書でボカロシーンを支えた天才の1人として紹介されている。天才と呼んでいるのは、ハチP(米津玄師)、wowaka(ヒトリエのボーカル)、DECO*27。
  • ハチPとwowakaは、これまで音楽に取り入れられてこなかった音を積極的に使っている点で共通していると語られており、前者は不協和音、後者はオクターブ跳躍。
  • この個性を最も反映しているのが「センスレス・ワンダー」だと思っている。サビの1フレーズ目はオクターブを無視すると同一音なのに、しっかり動きを感じるから驚き。彼が亡くなってからもう4年半も経ってしまった。
  • 本も読み終わったら感想まとめたい。

 

宇宙地図 / yukkedoluce

宇宙地図 (feat. 初音ミク)

宇宙地図 (feat. 初音ミク)

  • yukkedoluce
  • ポップ
  • ¥204
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  • 定期的に聴いてる。
  • ほぼBUMP OF CHICKEN。どっかのライブでやってなかった?
  • 始まり、広大な空間に煌めく星空を漂う中、地球と交信する音が響く。これだけでご飯何杯いけるだろうか。
  • 宇宙地図が作られた時のエピソードも素敵すぎる。

 

フタリボシ / 40mP

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  • これも定期的だけど、4月に九州で聴いたのが一番記憶に残ってるかも。
  • どこまでも王道なメロディー、歌詞。これぞ40mPという感じ。
  • 儚い鉄琴(?)の音から始まり、どんどん盛り上がる。ラスサビ前のギターソロが力強くて好き。

 

チノカテ / ヨルシカ

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  • 5月末から6月頭にアメリカに出張した時、ヨルシカとn-bunaをずっと聴いてた。
  • 初めての海外経験。街へ出ようという気持ちを掻き立ててくれた。これが視野を広げ、また本を読もうというきっかけをくれたんだと思う。
  • 2番サビの歌詞がグッときてしまう。
  • アルバム「幻燈」はかなり好き。ブレーメンの皮肉さとかたまらん。
  • n-bunaはルラとかがいいね。
ルラ

ルラ

  • n-buna
  • アニメ
  • ¥204
  • provided courtesy of iTunes

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ノイローゼ / 栗山夕璃(蜂屋ななし)

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  • 栗山氏を聴き始めたのは7月とか。
  • アニメ「とんでもスキルで異世界放浪メシ」のOP「贅沢な匙 / Van de Shop」が良かったのだけれど、それが栗山のバンドだったと春くらいに知り、ずっと気になっていた。

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  • ブラッシングがチャッキチャキで最高。メロディや歌詞の中身は悲しいけど、言葉遊びと演奏テクが聴いていて楽しい。
  • 栗山調声はかなり癖があるけど、vflowerは一番聴きやすい。

 

HERO / Ayase

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  • マジカルミライ2023テーマソング。
  • 今年は大阪と東京に参戦。楽しかったなあ。

 

嘶く / TOKOTOKO(西沢さんP)

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  • 僕の一推しPである西沢が今年の9月、アルバムを出してくれました。ありがとう。
OTAKARA ARCA

OTAKARA ARCA

  • TOKOTOKO(西沢さんP)
  • アニメ
  • ¥1222

music.apple.com

  • その中でもこの曲が一番好き。
  • ギターの音色、フレーズ、歌詞、イラスト(べて)、全部が好み。冷たい中から温かさを掬い取るような生み出すような、それでいて無機質な感じというか、、うまく言語化できないけど、そんなイメージを持つ楽曲をたくさん作ってくれるので好きです。

 

VIDROAPE / Sohbana

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  • 今年出会って良かったボカロP第1位は間違いなくこの人。
  • プロセカの星野一歌プレイリストに入っており、ミク廃が選ぶ楽曲はどんなもんかとお手並み拝見したらお見事であった。
  • 米津、wowakaナイズされている感じがする。積極的にスケール外の音を使いつつ、リズム隊をかっちり組んで、無機質さを生み出してる。
  • 「はなれあうゼロ」「モノローグがうるさい」などなど、今も好き曲を発掘している最中。

 

幽光、1/fのゆらめき / 卯花ロク

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  • 卯花ロク(ウカロク)さんはこれか「掻き消して、クアルテット」か。両方ともめちゃくちゃ聴いたので迷った。

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  • イントロのギターが癖すぎる。これ弾けたら楽しいだろうなあ。
  • 音も歌詞もとにかく力強くて、たくさん背中を支えてもらった。
  • ウカロクは結構わちゃわちゃしたギターフレーズを入れるイメージだけど、この2曲は音数が少なめだから自分の好みにドストライクだった。
  • 調声も程よく無機質さが残った聞きやすいタイプで好み。

 

Who are / みきとP

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  • 12月のライブ「Trio Colors Odyssey」にて出会った。
  • ギターを弾きながら自分で歌い切る。めちゃくちゃライブ慣れしてるというか安定感がすごかった。2曲目からボーカルで参戦した室田夏海さんも歌・盛り上げ方ともに素晴らしくて、参加して良かったと心から思った。
  • ライブが終わってからYouTubeでサブスク解禁していない曲を漁ると、まだまだ名曲がごろごろ出てきた。
  • みきとPは7thコード(ライクなもの)をメインに据えていて、シンプルな構成なんだけど響きに複雑さがある、(音の流れではなく)音そのものにもこだわりを詰め込むアーティストだと思う。
  • ライブの翌日、X(旧Twitter)のスペースにてご本人がライブを振り返っていた。ライブでは"BPMを-2"するらしい。こういう細かいこだわりが好き。
  • 一推しボカロPの西沢さんも「っぱみきとPよ」と言っていたがそう思った。

 

水流のロック / ダズビー Cover / 日食なつこ

水流のロック

水流のロック

  • ダズビー
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

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  • 今自分の中でキテるアーティストの1人。
  • 声がめっちゃ好み。繊細で深みがあって力強い。
  • ピアノとドラムのシンプルな構成の楽曲に上手く溶け込んでいて、リズミカルに優雅に川を登っていく魚のようなイメージ。
  • 他のカバーもめっちゃ良い。「それがあなたの幸せとしても」とか。
  • 本家の日食なつこも良い、PVでは滝の前でピアノとドラムが向かい合って2人でセッションする。日本を感じる名曲。

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まとめ

花になってええええとか本当はもっともっとあるけど、際限なくなってしまうのでここでやめ。

最近聴いてる曲は、思い出を形成している最中なので上手く選びにくいですね。

こうしてみると改めて自分の好みってはっきりしてるなあと。

良いお年を。

 

 

おまけ

音楽にハマったきっかけの曲 春になったら / miwa

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  • 自分から音楽を聴くようになったのは中学を卒業した時。当時やっていた進研ゼミを終えるにあたり、これまで貯めてきたポイントを音楽プレイヤーと交換した。
  • 最初はボカロ(理由は次に記載)、BUMP(友達がめっちゃ好きだった)、B'z(親がガチファン)あたりをわーっと聴いてた。そのうちもっとちゃんと聴きたくなり、Walkmanを購入。
  • 当時はTSUTAYAでCDをレンタルして色々聴く文化で、兄上がmiwaのアルバム「guitarissimo」を借りていた。ジャケ写が可愛かったので自分も聴いてみようと思って音楽プレイヤーに取り込んだ。そしたら声がめちゃくちゃ好みでハマった。
  • 初めてハマったものは往々にして熱量がおかしくなりがち。ラジオ聞いたり、CD買うのもライブ行ったのもmiwaが初めて。めっちゃ楽しかったなあ。
  • 今はもう聴いてないけど、音楽の楽しさを教えてくれた思い出の1人。

 

ボカロとの出会い Tell Your World と Redial / livetune

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  • このCMを見たのは中学生のとき。これから世界はもっともっと明るく発展していくんだと、未来にワクワクする希望を抱かせるような、そんな高揚感があった記憶。
  • そのちょっと前に文化祭で友達がハッピーシンセサイザを踊っていて、ボカロというものにほんのり興味があった。

youtu.be

  • そんな中でこのCMを見た自分はミクの曲をもっと聴いてみたいとなり、先述のように音楽プレイヤーを手に入れて、音楽の世界に飛び込んだ。
  • 「Tell your world」「ハッピーシンセサイザ」に始まり、「ワールズエンドダンスホール」「メルトの立体音響」「深海少女」「天ノ弱」などなど、探せばいくらでもいい曲が出てくるので、毎日楽しかった。

 

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  • 大学生になるとフェスに行くようになってロキノン厨になり、ブルエンとかドロスとか夜ダンとかに興味が移っていってボカロを聴かなくなった。
  • 大学院生のとき、コロナが始まった。家で過ごす時間が多くなり、音楽を聴く時間も増えた。ある日たまたま、そういえばボカロってどうなったんだろうと思い、家から徒歩2分のスーパー「コモディイイダ」に向かう途中でこの曲に出会った。Tell your worldを聴いた時と同じキラキラした感覚が全身を巡って、やっぱりボカロっていいなと。その数ヶ月後にプロセカが始まったのも相まって、自分が離れていた間に生み出された曲を漁りまくるようになり現在に至る。
  • ボカロの世界に引き込んでくれたのは、2回ともlivetuneの曲(1回目は文化祭で踊ってた友人も)。だからいつかライブを聴いてみたいなと思っている。

 

受験期を支えてくれた曲 会いにゆくよ / 山崎あおい

会いにゆくよ

会いにゆくよ

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  • 高校生の時miwaにハマっていた影響でYUIとか他のギタ女を漁ったことがあり、そこで見つけたのが山崎あおい
  • 自らをセンチメンタル職人と称するだけあって、歌詞が切なくて等身大。
  • 高校3年生の受験期の冬休み、自分の部屋で足元にヒーターをつけながら勉強していた。自分も合格して東京に行ったらこんなふうに思うのかな、なんてことを考えながらこの曲を聴いてた。あのときの暖房のあったかい匂いがこの曲と完全に結びついていて、いつでも実家を思い出せる、そんな素敵な曲になった。
  • 昨年2022年の8月、高校の旧友に誘われてバースデーライブに行った。しばらく聴いていなかったけどやっぱりいいな、なんて思いながらライブの時間を過ごした。こじんまりした箱で、観客は数百人くらい。「夏海」がヒットした時はこれで私もドラマのタイアップやっちゃうのかな?武道館行っちゃうのかな?なんて夢を見たけど、現実はそう甘くなかったです笑。この歳になるといろいろ自分の実力もわかってきて諦めもついた。だけど音楽はやめてやらない、そう思って続けてきたら今こんなちょうどいい幸せが目の前にある。そう語った姿が心に刺さった。そして最後の曲「会いにゆくよ」を歌ってくれた。
  • 最近また聴くようになった。「夜の散歩」「サボタージュ」とかが好み。これからも応援しています。

量子力学を理解するには

ちょっと強すぎるタイトルですが、個人的に思っていたことを書いてみます。

大学の物理で魅惑的なものの一つが量子力学じゃないかなと思います。

Schrodingerの猫(僕のアイコンがそうですね)というキャッチーな概念もあって、名前くらいは聞いたことがあるという人が多いのかなと思います。

巷では「量子力学的生き方」みたいなものが流行っているようですね、お願いだからこんなゴミみたいな詐欺商材には搾取されないでください

 

一方で、真面目に量子力学を学び始めると

  • 粒子と波動の二重性
  • Schrodinger方程式を解くテクニック
  • 状態ベクトル、エルミート、Hilbert空間

といった話を延々とされて、結局よく分からずじまいになりがちです。

大学で6年間、曲がりなりにも物理を勉強して、今ではだいぶ頭の整理もされました。その理解を書き残しておきたいと思います。

 

想定する読者

  • 大学で量子力学を受講したが、いまいち腑に落ちなかった人
  • 量子力学に興味を持っている人

 

量子力学の理解には、大きく3つのステップがあります。

 

量子力学で扱うこと

まず量子力学で扱うのは、大雑把に言えば小さな粒子の運動学です。

小さな粒子というのは、電子、原子などをイメージしておけば良いです。

我々が日常体験するような世界では、高校物理でやったNewtonの運動方程式 F=ma によって、物体の運動は完全に決定されます。

ところが量子力学においては、このような直感が崩壊します。物体の運動はSchrodinger方程式という式で記述され、さらにこの式からわかることは

  • 物体の運動はいくつかのパターンに限られる (量子化)
  • 各パターンにおいて運動は確率的に予言される (波動関数)

ということなのです。

 

量子化

運動がいくつかのパターンに限られるとは、連続的にあらゆる状態があり得るわけではなく、離散的にしか可能な状態がないということ、すなわち運動のパターンが量子化されるということを意味します。依って以て「量子力学」という名前になります。

また、この運動の違いはエネルギーの違いも意味していて、取りうるエネルギーの値を集めてみると離散的になるということになります*1*2*3。これがエネルギー準位と呼ばれるものです。

 

波動関数

例えば電子の運動を考えようとしても、だいたいこの辺りをウロウロしているというのは分かっても、今ここにいるはずだというのは確定的に予言できない、というのが量子力学になります。

そんなの不完全じゃないかと思うかもしれませんが、現代ではこれ以上に実験と整合性の取れる理論が存在しないので、量子力学を信じるしかないのです。

 

1. 量子力学的な重ね合わせ

さらにこの確率的な運動は、別の運動パターンの確率と干渉し合います。これを量子力学的な重ね合わせと言います。

この量子力学的な重ね合わせを理解できれば、(一粒子の)量子力学を理解したと言っていいと思います。

干渉というのは古典的にも存在する現象で、波同士がぶつかりあうことを言います。例えば水面の波がぶつかると縞模様ができる、みたいなイメージですね。

 

 sites.google.com

 


www.youtube.com

 

ただ、量子力学における重ね合わせは、古典的な確率の重ね合わせとは本質的に異なります

例えばサイコロの上にコップをかぶせて机の上でクルクル動かした後、サイコロの目がいくつになっているかは確率で表されることになります。

蓋を開けるまでは、すべての目の可能性が重ね合った状態になっています。これが古典的な重ね合わせ状態ですが、言ってしまえば古典的な重ね合わせとは単なる情報の欠落にすぎないのです。

 

これと量子力学的な重ね合わせは本質的に異なります*4

この節の最初に述べたように、量子力学的な重ね合わせでは、異なる確率同士が干渉を引き起こします。その結果、古典的な直感からはかけ離れた実験結果が出現するのです。

一番わかりやすい例は、二重スリットの実験でしょう。こちらのサイトに図がいろいろ載っていてわかりやすいので、それをイメージしながら読んでみてください。

www.yamanashibank.co.jp

二つのスリット(小さな穴)をもつ壁に対して、電子のビームを放ちます。そしてスリットを抜けた先にスクリーンを用意し、電子がどこに到達したかを記録できるようにします。

はじめに、片方の穴を塞いだ状態で実験を行ってみると、スクリーン上の電子の跡はスリットを中心に広がりを持った単峰的な分布になります。もう片方についても同じです。

では、両方の穴を開けた状態で実験を行うとどうでしょうか?

古典的な直感からは、単純に2つの山が重ね合わさった形になるように思います。

しかし、実際の実験結果は縞模様になってしまいます。

これは、単純に2つの確率分布を重ねて考える古典的な重ね合わせとの違いをはっきり示しています。量子力学では上のスリットを通った確率と下のスリットを通った確率が干渉しあい、波のような縞模様を作り出すのです。

 

密度行列

この量子力学的な重ね合わせと古典的な重ね合わせを区別する記述法が、密度行列と呼ばれるものです。量子的な重ね合わせと古典的な重ね合わせの違いを理解することは、密度行列を理解することに他なりません。

量子力学では、重ね合わせを表現するために線形代数、すなわちベクトルを用います。ベクトルの足し算が重ね合わせに相当します。この方法だと、量子的な重ね合わせは記述できても、古典的な重ね合わせは記述できません。ベクトルを使った表記では、古典的な重ね合わせは確率的にベクトルを用意する、ということに対応してしまうからです*5

そこで密度行列では、状態をベクトルではなく行列で表現します。行列の非対角項で量子的な重ね合わせを表現し、対角項で古典的な重ね合わせを表現します。

私が受けた量子力学の授業では取り扱われなかったのですが、個人的には量子力学を学ぶ初期の段階で使っていくべきだと思います。人間は何かを理解しようとするとき、それが他とどう違うか比較しなければ対象物を同定できないからです。

この密度行列については、下記の本が非常にわかりやすく記述してくれています。この本では、量子力学における古典的な重ね合わせについても記述があります。これを読もうとすると、いかに線形代数が大事かということがよく分かります。

 

量子力学において、重ね合わせがどのくらい量子的かというのをコヒーレンスと呼びます。一般にコヒーレンスは時間と共に失われていき、最終的に古典的な重ね合わせになってしまうのですが、このことについては下記の本でよく記述されています。

※この本自体はかなり上級です。

 

2. 一体問題と多体問題

次のステップとして、量子力学は扱う粒子の数が1つか複数かで本質的に異なる取り扱いが必要になります。

それは「同種粒子は区別できない」という性質があるからです。

日常生活においては、例えば全く同じ形状のボールを2つ持ってきたとしても、こちらがボールA、こちらがボールBのように区別がつきます。

しかし、量子力学の世界ではこのようなことが不可能であると考えないと実験事実に反してしまうことが示されてしまったのです。

このことは「2つの粒子を入れ替えても入れ替える前の状態と区別がつかない」ということを意味します*6

この性質を上手く記述するために、複数の粒子を扱う場合には第二量子化(場の量子論)と呼ばれるものを使う必要があります。

第二量子化については数多くの方が解説を書かれていますが、個人的には下記の本の2章がベストと思います。量子状態の表記法に置換対称性をいかにして取り込むか?という点が強調されているからです。この本自体は中〜上級です。

※ 進んだ註になりますが、第二量子化法は必ずしも粒子の生成・消滅を表現するために使用するわけではありません。ある粒子の状態の変化を、元々の状態を消滅させて別の状態を生成すると考えても良く、こちらの方が記述が簡単だという理由で使用されることもあります。物性物理の場合、多くがこの使い方になります。

 

このように、量子力学では本質的に粒子の数が1つか複数かというのが重要になります。

ではそれぞれで全く別の話になるのかというと、実は繋がりがあるのです。

 

人間は無力なので、基本的に線形独立なものしか相手にできません。

複数粒子の量子力学においてもそれは同様で、粒子同士が相互作用を起こして複雑に絡み合うものを真正面から相手にすることはできないのです。

そこで、そのような相互作用を上手く分離するような近似を取り入れていくことで、相互作用をしない粒子の集まりに置き換えてしまいます。

こうなってしまえば、1つの粒子についての情報がわかれば、他の粒子も全て同じ性質になるので、人間でも取り扱えるようになります。

この1つの粒子についての情報を求めるために、1粒子の量子力学を使うことになります。

 

3. 量子統計力学

最後のステップが量子統計力学です。

実際の世界で、量子力学がどのように関わり合うかを考えようとすると「温度」という概念が重要になってきます。一粒子 → 多粒子 → 温度というのが、量子力学を学ぶ3段階のステップということになろうかと思います。

この辺りまで来るとかなり専門的な話になってくるので、難しすぎる場合は読み飛ばしてください。

温度の話は、大学の物理学で最初の方に学ぶ熱力学で登場します。熱力学は抽象的な議論が多く、ふわっとしていてつかみどころのない学問なのですが、その一般性ゆえに量子力学の世界でも通用します。大雑把に言えば、自由エネルギーの低い方が安定という世界観は量子力学でも有効なのです。

自由エネルギーとは、いわゆるエネルギーとエントロピーの両方を考慮したもので、温度が高くなるとエントロピーの効果、つまりバラバラの状態の方を好むという性質になり、逆に温度が低いところでは純粋にエネルギーが低い方に集まることを好むという性質になります。

※ こちらの本の3章で、一般向けにかなり平易な説明がなされています。

 

量子力学においてこの概念を適用すると、完全にエネルギーが最低になる状態だけではなく、少しエネルギーの高い状態も混ざってくるというイメージになります。ここで重要なことは、この様々な状態の重ね合わせは、量子的な重ね合わせではないということです。

熱力学において自由エネルギー原理は、温度が一定の外部環境(熱浴。例えば空気や物体を取り付けているプレートを想像してください)とエネルギーのやり取りをした結果、その平衡状態がどうなるかを考察することで導出されます。

※ 例えば下記の本に載っています。

このことは、対象とする量子系が外部との相互作用を行っていることを意味します。すると、対象とする量子系だけを外部環境から切りとって考える際に、外部の情報を失ってしまうことになるので、情報の欠落が発生します。

初めの章で述べたように、純粋に情報の欠落によって発生する確率的な重ね合わせは古典的なものになります。もし外部の情報を完全に含めて取り扱うことができれば量子的な重ね合わせになりますが、現実問題として外部と相互作用しない系を作ることは不可能(音波(フォノン)、輻射(フォトン)で相互作用が発生してしまう)なので、このような取り扱いをせざるを得ません。

しかしこのような情報が不完全な状態であっても、自由エネルギー原理があるので状態を正しく記述することができます。これは結構、奇跡的なことだと個人的には感じます。

※ 上述した「量子情報科学入門」「量子測定と量子制御」という本に数式でこのことが示されています。

「注目する系を外部から切り取ると緩和が発生する」というのは古典力学でもある話で、摩擦や空気抵抗がまさにそうですね。今回の場合は、注目している量子系を外部環境から切り取ったために、コヒーレンスの緩和が起こってしまうという話です。この考え方は結構登場するくせに親切に述べられていたことはほとんど無かったと記憶しています。

 

では古典的な重ね合わせになってしまうのだったら、量子力学は不要なのではないかと思うかもしれませんが、最初に述べた2つの性質のもう片方、つまり可能な運動のパターンが制限される(状態が量子化される)という性質が残ります。物質の性質を理解しようとすると、本質的に持っているこの量子的な性質を取り扱うために、量子力学が必要になるのです。

 

---ここは完全に余談です---

この運動のパターンが制限されるという話を応用できる、一番身近な例は電気伝導です。物質には電気を通すもの(金属)と電気を通さないもの(絶縁体)があります。

まず、物質には大量の電子があり、一つ一つの電子が量子力学に従います。よって1つ1つの電子の運動は離散化され、エネルギーの高い運動と低い運動があり得ることになります。このとき、複数の電子全体での運動を考えると、エネルギーの低いグループ同士、高いグループ同士が集まって束になります。これがエネルギーバンドと呼ばれるもので、エネルギーの高いバンドと低いバンドの間には空白(バンドギャップ)ができます。

このバンドとして存在するエネルギー準位に電子を詰めていくわけなのですが、電子が低いバンドの中にぴったり収まってしまって動けないものが絶縁体であり、余裕がある物質が金属ということになります。

そしてこれらの中間的な性質、つまり若干余裕があるというような物質が半導体です。ここで自由エネルギー原理を思い出すと、温度のある状況下では温度が高いほどバラバラであることを好むので、温度を上げるとエネルギーの高い状態に電子が移っていくことになります。そうすると余裕のある状態にさらに余裕ができて、電子は動きやすくなります。いわゆる電子機器の熱暴走というのは、温度が変わった時に半導体の電気の流れやすさが大きく変わってしまうことに由来すると考えることができます。

このように、身近な現象も量子力学の枠組みを通して見ることで、その背景の豊かさと一般性を楽しむことができます。

 

僕が使った本

以上の点を意識しておけば、量子力学で路頭に迷うことはかなり減るのではないかと思います。

僕は大学2年生のときに初めて量子力学に触れ、さっぱり分からず、いろんな情報をあさりました。

少ないですがお世話になった本を書いておきます。

Landau, 物理学小教程 量子力学

有名なLandauの量子力学のミニバージョンです。

文庫本なので、電車とかいろんなところで読めますし、値段も安いです。

まあ相変わらずの不親切さですが、一番物理的なイメージを与えてくれた本だったような気がします。後半はこれだけでは無理だと思ったので読んでいません。

 

Griffiths, Introduction to Quantum Mechanics

イキっていた大学2年生の頃に2章くらいまで読みました。

1章の註にちょろっと、古典的重ね合わせと量子的重ね合わせの違いが書かれています。今思えばこれを覚えていたから、ある日、量子的な重ね合わせとは何かを理解できたんだと思います。

教科書としてもめちゃくちゃ親切で、2章は典型問題5パターン(自由空間、無限井戸、有限井戸の束縛、有限井戸の散乱、調和振動子)を扱っています。これでだいぶ計算に抵抗がなくなった感じがありますね。

英語もかなり平易なので読みやすいと思います。

改訂が入って対称性についての記述も追記されたようです。

 

小出昭一郎 量子力学

 

J.J.サクライ 現代の量子力学

僕はこれら2種類の本を読んだことがありませんが、授業はこれらがベースになっていたようです。

私の指導教官は、小出本は良くないと評していました。多体系の取り扱いが微妙だとか...

 

石坂 量子情報科学入門

途中で出しましたが、密度行列についてはこれがおすすめです。

また、量子力学線形代数の観点から整理するのにもとても優れていると思います。

M2のときに読みましたが、これでもう1ステージ上れた感じがありました。

 

北 統計力学から理解する超伝導

こちらも途中で出しました。第二量子化を理解するのはこれがベストです。置換対称性をここまで全面に押し出しているのはこれしかないと思います。

本の内容自体も面白くて、2つの電子の場の演算子から Cooper pair の場の演算子を作って議論するというユニークな話が載っています。物性物理の花形と言われている超伝導をいつか理解するために読みたいなと思っています。

 

*1:厳密に言えば連続的な対称性を持つ場合には連続的な値を持ちます。自由空間の場合がそうですね。

*2:エネルギーの量子化がどのくらいのスケール感なのかを表しているのが Planck定数 h です。どの本に書いてあったか忘れてしまったのですが、h が出てきたら量子力学的な効果が現れていると考えるべきだという記述があって、なるほどと思った記憶があります。

*3:状態が離散化される起源を辿ると、Schrodinger方程式という微分方程式の解が離散的であるということになります。さらに深掘りして考えてみると、そもそも微分積分が次元を「1つ」変えるという操作であり、本質的に離散的な操作であるということになるんだろうと思います。

*4:僕はそういう意味で、サイコロで波動関数の収縮を説明するのは正しくないと思っています。

*5:状態ベクトルを数学的な意味での確率変数にすれば記述できると思います。

*6:中学・高校の化学で習うPauliの排他律はこの性質からきています。

読んだ本 vol.1 (2023/7 - 2023/8)

毎月のルーティンにしたいですね。どこまで続けられるか。。

これも推し度★をつけてみました。

 

☆☆☆ 高校生のための経済学入門 / 小塩隆士

  • 全然勉強したことなかったのでチョイス。
  • 前半が需要と供給などのミクロ経済学、後半が金融政策などのマクロ経済の話。
  • 語り口調で書かれていてスラスラ読める。
  • ふんわりと知っていた単語がもうちょっと具体化、体系化された。自分はマクロ経済に関する知識が弱いんだなということが分かった。だから金融緩和をするとどうなるかみたいなのがパッと分からない。
  • どうしても入門書なので、ベースの考え方にとどまっていて、自分の生活に応用できそうなところまではいかない。これを土台にして別の本に進もうかな。今後も何回か見直すことになる本な気がする。

目次

序章 経済学を学ぶ前に
第1章 需要と供給の決まり方
第2章 市場メカニズムの魅力
第3章 なぜ政府が必要なのか
第4章 経済全体の動きをつかむ
第5章 お金の回り方を探る
第6章 税金と財政のあり方を考える

 

☆☆☆ やってはいけない不動産投資 / 藤田知也

  • ワンルームマンション不動産投資の勧誘を受け、なぜダメなのかを知るためにチョイス。
  • youtubeワンルームマンション投資に警鐘を鳴らしている方がいるが、本の内容で一般化できる部分をまとめるならこの動画で言っていることになる。 ワンルームマンション投資は絶対するな!販売会社の巧妙な手口とは…? - YouTube
    • 返済利息+固定資産税以上の利回りがないと原理的に赤字(目安として6%以上)。追加で修繕費などもかかる。
    • 仮に上の利回りを達成できたとしても、物価価格の下落を読むのが難しい。
    • サブリース(空室の場合に家賃補償をする代わりに、手数料として家賃の5-10%程度取られる) → 保証がないと売れないような物件
    • そもそも融資で頭金がないのは変。
    • 逆に条件が良すぎても詐欺の可能性。
  • 上記をリアリティを伴って説明するために、個別具体の事例(スマートデイズ、カボチャの馬車事件、スルガ銀行)や不動産業者の裏世界(融資のための書類をちょろまかして物件を売り捌くなど)が週刊誌チックに記述されている。特に書類の改竄は、こんなに細かいことまでできるならもっとマトモに働けるだろと思うくらい徹底していて感心させられてしまった。
  • 年収700万前後くらいの層がよくカモにされているという事実を深く胸に刻んだ。

目次

はじめに―一流エリートが“カモ”にされるワケ
第1章 「長期保証」で油断させる
第2章 「今がチャンス」と錯覚させる
第3章 「リスク」から目をそらす
第4章 「不正」には気づかせない
第5章 「高利回り」と見せかける
第6章 「ウソ」は堂々とつく
第7章 それでも投資したい人のために

 

★☆☆ はじめてナットク!超伝導 / 村上雅人

  • 室温超伝導LK-99が話題になり、超伝導について知りたいと思ったのでチョイス。
  • 超伝導って、電気抵抗0なんでしょ、なんか電子がCooper pairというのを組むと起こるんでしょ、くらいのイメージだった。
  • この本では、本質的に重要なのはピン留め効果であるということが強調されている。
    • 表紙にあるような磁気浮上は、磁場を嫌うMeissner効果によるものと間違われてしまうが、そうではなくて超伝導体の中に磁場が固定されるものによるということが分かりやすく解説されていた。
    • さらに電気抵抗が0になるだけだと、電流を流した時に電磁誘導で磁場が発生してしまって結局うまくいかなくて(上述のMeissner効果で耐えきれなくなってしまう)、ここでも磁場の「放出先」としてピン留め磁束が重要であるということが述べられていた。
  • この説明をするために、きちんとGibbs自由エネルギーの話から始まって、第1種超伝導体と第2種超伝導体の話までしている。しかも数式なしで。エントロピーの説明がうまくて感心した。やはりブルーバックスはすごい。
  • ただ Cooper pair を作るとなぜ電気抵抗が0になるのか、というのはやっぱり雰囲気だけしか分からない(レーザーと同じく)。久しぶりに物理やるかなあという気持ちがほんのり沸いた。

目次

序章 超伝導で人が浮く
第1章 電気抵抗ゼロの秘密
第2章 超伝導と巨大な電子の波―超伝導はマクロな量子現象
第3章 超伝導と熱力学―熱力学の基礎
第4章 超伝導と熱力学(実践編)―熱力学で超伝導をどう理解するのか
第5章 高温超伝導を探して―青い鳥とUSO物語
第6章 超伝導を何に使うか
第7章 最初の人間浮上はなぜ失敗したか―超伝導バルク応用開発の話

 

★★☆ 現代思想入門 / 千葉雅也

  • 小難しい本が読みたくなったのでチョイス。
  • 文章がめっちゃカッコいい。中二心をくすぐる。
    • 「はじめに」より
      能動性と受動性が互いを押し合いへしあいながら、絡み合いながら展開されるグレーゾーンがあって、そこにこそ人生のリアリティがある。
    • 「おわりに」より

      僕自身の感覚としては、本書は、専門家としてというより、一〇代からフランス現代思想に憧れ、リゾームだの脱構築だのと言ってみたい!という「カッコつけ」から出発した現代思想ファンの総決算として書いたのかもしれません。これは青春の総括であり、憧れへの終幕なのです。

  • 普段感じている生きづらさ、不文律みたいなものを上手く哲学の思想(この本では特に、二項対立からの脱構築)と繋げて説明していて、妙な納得感を覚える。自分だけじゃないんだなという気持ちになれるし、哲学に興味も持てた。
    • 未練、他者、規律、競争、欲望といった、人が人であるために必要ではあるものの、それに囚われると何もできなくなってしまうようなものから、どうやって良い距離を保つか、というのが共通テーマかなと思います。
  • 小難しいことを書いてしまいましたが、人間なんでも偏りすぎは良くないなあ、というのがざっくり残った印象。平易に説明してくれてるとは言っても、普段目にするような御客様向け文章ではない。もっと国語力を鍛えたいなと思わされた。
  • 自分の中に変化を起こした感覚があるので、時の試練に耐えられたら★★★に変更しようかなと思います。

目次

はじめに 今なぜ現代思想
第一章 デリダーー概念の脱構築
第二章 ドゥルーズーー存在の脱構築
第三章 フーコーーー社会の脱構築
ここまでのまとめ
第四章 現代思想の源流ーーニーチェフロイトマルクス
第五章 精神分析現代思想ーーラカンルジャンドル
第六章 現代思想のつくり方
第七章 ポスト・ポスト構造主義
付録 現代思想の読み方
おわりに 秩序と逸脱

 

これまで観たアニメをまとめてみた

アニメを観始めたのは2021年2月。ここ2年半くらいで観たアニメを振り返ってみました。

  • ほぼラブコメじゃん。。
  • トータルで80作品くらい。結構観た気がするけどまだ名作がたくさん残ってる。
  • うろ覚えな作品がいくつかあったので、観終わったらすぐ感想書くようにした方がいいなと思いました。
  • 深夜テンションなところがあります。

推し度★は辛口でつけてます、もう一回観たいかっていうのが一つの基準。

★★★作品をランキング
★★☆作品をランキング

★☆☆ 五等分の花嫁

  • 2018 / ラブコメ / 手塚プロダクション / 春場ねぎ
  • アニメを観始めるきっかけになった作品。修論で心が荒んでいた時に漫画を手に取り、修論提出の1週間前だったにも関わらず徹夜で一気読み。修論発表が終わった後、dアニメストアに入会して最初に観た。
  • 一花推しです。

★☆☆ ハッピーシュガーライフ

  • 2018 / ホラー / Ezo'la / 鍵空とみやき
  • 花澤香菜の声が好きで2作目に選出。ゆるふわな絵のくせに内容がトラウマ級。何を伝えたかったのか全くわからないけど癖になる作品。
  • ED曲 ワンルームシュガーライフ (ナナヲアカリ) がナユタン作曲でめちゃくちゃ好き。

★★☆ ReLIFE

  • 無印, 完結編
  • 2016, 2018 / 青春, ラブコメ / トムス・エンタテイメント / 夜宵草
  • comico で大ヒットした作品。実家に漫画が置いてあったことを思い出して観始めた。原作カットの仕方が上手く、アニメ単体としてまとまっている。
  • 登場人物が全員優しい。高校生らしい不器用さと向き合うストーリーラインも良い。日代さんが可愛い。お砂糖。
  • OP ボタン (PENGUIN RESEARCH) がピッタリすぎて神。さすが堀江晶太
  • EDにはイージュー★ライダー、夏祭りなど、2000年前後のレトロな楽曲が週替わりで登場。

☆☆☆ 鬼滅の刃 (立志編)

  • 2019 / バトル / ufotable / 鍵空とみやき
  • 流行りだったので。個人的にはそれなりに修行期間があるところが、急激に成長して強敵をバサバサ倒していく感じとは違っていいなと思います。

★☆☆ 死神坊ちゃんと黒メイド

  • 2020 / ラブコメ / J.C.STAFF / イノウエ
  • メンズ向けっぽい雰囲気だけど、結構純愛で万人におすすめできる。
  • アリス&坊ちゃんだけでなく、カフ&ザイン、ヴィオラ&ロブなど、全ペア推せる。
  • OP 満月とシルエットの夜 もノリが良くて好き。
  • 坊ちゃんの声が鬼滅の炭治郎(花江夏樹)なので、炭治郎お前幸せになってくれよ...と思いながら観てた。お砂糖。

☆☆☆ 五等分の花嫁 ∮∮

  • 2021 / ラブコメ / バイブリーアニメーションスタジオ / 春場ねぎ
  • 1期と違って駆け足すぎて、原作を読んでる人じゃないとついていけないし、原作好きな人には物足りないし、微妙。。絵は良くなってる。
  • 一花推しとしては、6話の最後のシーンは神。そこだけ見ればOK。

★★★ Vivy -Flourite Eye's Song-

  • 2021 / SF / WIT STUDIO / Vivy Score (長月達平、梅原英司)
  • AIの叛逆によるディストピアを阻止するべく、歌姫AIのVivyと未来からやってきた箱型ロボのマツモトがタイムリープして過去に起こる問題を解決していく。
  • とにかく絵と唄が綺麗。
    • 6話の飛行戦がめちゃくちゃ好き。こんなにも躍動感があるのに全くごちゃごちゃしてない。とりあえずこれを観てほしい。
    • Sing My Pleasure, Galaxy Anthem など。そこはかとないFF感が個人的にツボ。
  • Vivyとマツモトがいがみ合いながら徐々にバディとして成長していく感じも良い。
  • 初めてリアタイしたアニメ。毎週ワックワクで生きてた。
  • マツモトの声は暗殺教室の殺せんせー(福山潤)
  • リゼロの長月さんが原案に携わっている。

★☆☆ 呪術廻戦 (1期)

  • 2020 / バトル / MAPPA / 芥見下々
  • 流行りだったので。主人公が癖のないフラットな性格なのが印象的。王道ジャンプ漫画という感じ。
  • サブキャラの描き方、技の登場させ方など、終始続きが気になるような魅せ方が面白い。
  • 21話のおふざけ回も良い。

★★☆ トニカクカワイイ

☆☆☆ フルーツバスケット

  • 1st, 2nd, The final
  • 2019, 2020, 2021 / 青春, ラブコメ / トムス・エンタテイメント / 高屋奈月
  • 少女漫画。主人公は女の子。異性に抱きかれると獣人化してしまう十二支の物憑き達との恋愛物語。
  • とにかく主人公が良い人。普通に泣いた。
  • 大人紅葉くんがイケメン。絵柄がきれい。

★☆☆ ホリミヤ (1期)

  • 推し度:★☆☆
  • 2021 / 青春, ラブコメ / Clover Works / 萩原ダイスケ
  • 高校では大人しい宮村くんと、活発で明るい堀さんの青春恋愛ストーリー。お砂糖。
  • 堀さんの声(戸松遥)がReLIFE狩生さん、こういうツンツンしたキャラクター似合いすぎる。
  • 石川くんと吉川さんの関係性も好き。
  • 心がざわつくシーンで影が色づく演出がお気に入り。

★★☆ 冴えない彼女の育て方

  • 無印, ♭, Fine
  • 2015, 2017, 2019 / 青春, ラブコメ / A-1 Pictures / 丸戸史明
  • 主人公の安芸と、ヒロイン3人(4人?)のラブコメ。全員オタクで、メインヒロインの恵だけ普通の女の子。サークルで自主ゲームを作るというのがメインプロット。
  • 今まで観た全ラブコメの中で最もヒロインが可愛い。1期の5話、2期の7話、映画はニヤけずにみるの無理。体がガムシロップになる。
  • オタク色がかなり強いので注意。
  • ゲームのプロットが実際の登場人物の心情描写になっている。

★☆☆ やはり俺の青春ラブコメは間違っている。

  • 無印, 続, 完。
  • 2013, 2015, 2020 / 青春, ラブコメ / ブレインズベース, feel. / 渡航
  • ひねくれものの比企谷が、才色兼備な雪ノ下、幼馴染の由比ヶ浜と、奉仕部として共闘していく。自己犠牲で丸く解決してしまう主人公に対し、様々な人が異を唱えぶつかり合っていく中で成長していく。
  • 言葉選びとかプロットがわざと難解になっていて、正直全然読み解けない。たぶん原作を読まないと無理。
  • メインヒロインの2人だけでなく、いろは、川崎さん、先生、戸塚など、推しが多様に分かれる。戸塚が一番可愛い。
  • 名前は鎌倉の地名から取られている。

★★☆ 氷菓

★★★ Re:ゼロから始める異世界生活

  • 無印, 2nd season
  • 2020 / バトル, ミステリー / WHITE FOX / 長月達平
  • シリアス系の中で一番好きな作品。いわゆる異世界転生もの。
  • 主人公スバルは、立ちはだかる困難を乗り越えるまで死戻りを繰り返す宿命を背負ってしまう。死戻りのことは打ち明けられないという制約を抱えており、より主人公に孤独の苦しみを与える。もちろん戻ったら他の人の記憶はリセット。
  • 終始死への恐怖が鮮烈に描かれるので、感情移入すると現実では味わえないスリルを体験できる。
  • そんな張りつめた空気の中で、ヒロインたちが与えてくれる優しさが沁みる。6話からの8話の流れ、18話は涙腺崩壊必死。
  • 伏線の詰まったプロットも最高。特に白鯨編(12~21話)は見事すぎる、無理難題に思えても頭をひねれば突破口は出てくるんだなと。
  • 2期は一気に話が複雑になり、1度ではついていけない(25話まるっと1つの困難に使う)。3回くらい観返してようやく飲み込めた。そういう意味では1期だけでも十分だが、主要キャラの過去編がいくつか出てくるので、観た方が厚みが出て良いと思う。
  • OP Redo (鈴木このみ) および Realize もがっつりロックで中二心をくすぐられる。

☆☆☆ 幼馴染が絶対に負けないラブコメ

☆☆☆ 青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない。

☆☆☆ 彼女もカノジョ

★☆☆ 小林さんちのメイドラゴン

  • 無印, S
  • 2021 / 日常 / 京都アニメーション / クール教信者
  • ドラゴンメイドのトールと、ITサラリーウーマンの小林さんの日常もの。脳を空っぽにしたい時に観れる。
  • カンナちゃん、ファフニール、エルマは癒しだが、ルコア (+ イルル) のせいで人には薦めづらい。本当は★★☆にしたい。
  • OPの 青空のラプソディ (fhána) はめちゃくちゃ元気出る。最近毎日聴いてる。PVも可愛い。5000万回再生つよい。

☆☆☆ がっこうぐらし!

★★☆ NEW GAME!

  • 1期 !, 2期 !!
  • 2016, 2017 / 日常 / 動画工房 / 得能正太郎
  • 今日も1日頑張るぞい!
  • がっこうぐらしできらら系が観たくなったので選定したら大当たり。荒んだ心をデトックスしてくれる。良質な作業用BGM。
  • 2期6話の、才能や組織都合と葛藤するシリアスシーンは結構社会人にとって刺さるものがある。負けると分かっていてもやらなきゃいけない時がある。

★☆☆ ブレンド・S

  • 2017 / ギャグ / A-1 Pictures / 中山幸
  • きらら系が観たかったその2。
  • コンセプトカフェでドSキャラをやる話。
  • 主人公以外のキャラも個性激強でヤミナベという感じ。終始ふざけてて笑える。

★★★ やがて君になる

  • 2018 / ラブコメ / TROYCA / 仲谷鳰
  • NEW GAME主人公の声優(高田優希)が良い声だったので、他を漁ってチョイスしたら神と出逢ってしまった。これのせいで別の百合を2作品観た。
  • 先に進みたいのに進めない、胸がキュッとなる繊細な恋心を綺麗に芸術化していてめちゃくちゃ感動する。1回死んだ(CV 出川哲朗)。
  • アニメがありえないところで終わってしまう(2期やってくれ)ので、速攻で漫画全8巻をポチって読み切った。漫画もタッチが美しく、感情の機微を表情や風景に落とし込むのが上手すぎる。もはや文学作品。
  • 中でもアニメ12話(漫画5巻24話)の品川アクアパークのシーンはヤバい。幸せの絶頂とそれが終わってしまう切なさを水族館のファンタジックな風景 + 挿入歌 好き以外の言葉で で表現、感動せざるを得ない。ぴったりすぎでしょ。
  • ED hectopascal も良い。

★★☆ 安達としまむら

  • 2020 / ラブコメ / 手塚プロダクション / 入間人間
  • やがて君になるに影響されて観た作品その1。改めて観返すと、やがて君になるの後で霞んでいただけで、かなり良い作品だと気がついた。
  • どうやったら楽しく話せるかな、嫌われたりしないかな、みたいな友達以上恋人未満のドキドキ感を全面に押し出した優しい世界観。しまむらに振り回されちゃう安達、妄想全開の安達が可愛い。しまむらも関係性の維持のためにさりげなく気を遣うのが良い。
  • しまむらサイド、安達サイド、それぞれから内面を描写する場面がある。内面が言葉や行動となって外側に出ていく過程を覗けるのが楽しい。
  • 安達はトニカクカワイイの司さん、しまむら五等分の花嫁の三玖。押され気味な司さん、強気な三玖が観れる。
  • ED 君のとなりで がテンション爆上げで良い。
  • 舞台が愛知県なので親近感がある、スガキヤ

☆☆☆ citrus

☆☆☆ のんのんびより

  • 無印, リピート, 劇場版 ばけーしょん, のんすとっぷ
  • 2013, 2015, 2018, 2021 / 日常 / SILVER LINK. / あっと
  • 元祖日常系。
  • もし田舎に住んでもこういう日常が送れたらきっと幸せだろうなと思う。ほたるんが可愛い。
  • ばけーしょんは普通に感動した。子どもの時に友達とお別れしないといけない場面って、結構いろんな人が体験してるのではと思う。

☆☆☆ ひげを剃る。そして女子高生を拾う。

  • 2021 / ラブコメ / project No.9 / しめさば
  • ちょっと話題になったやつ。
  • 精神的にも幼い沙優ちゃんが、吉田さんのイケおじパワーで成長する話。
  • 後藤さんのヒロイン力が高い。

☆☆☆ さくら荘のペットな彼女

  • 2012 / ラブコメ / J.C.STAFF / 鴨志田一
  • 天才少女ましろは身の回りのことは点でできない。主人公の空田くんがそんな彼女の面倒を見てあげる中で、徐々に惹かれあっていく。
  • このくらいの時期、ラブコメに慣れ始めてしまい、正直展開をちゃんと覚えていない... 見返したほうがいいかもしれない。

☆☆☆ 俺の彼女と幼馴染が修羅場すぎる

☆☆☆ オオカミさんと七人の仲間たち

☆☆☆ 咲 -saki-

  • 無印, 全国編
  • 2009, 2014 / スポーツ / Studio五組 / 小林立
  • 超次元麻雀。主人公の咲の能力は嶺上開花
  • 無印17話で対決する敦賀学園の加治木ゆみが好き。能力なしでこんな戦えるの凄すぎる。

☆☆☆ ロザリオとバンパイア

☆☆☆ 干物妹!うまるちゃん

☆☆☆ 弱キャラ友崎くん

★★☆ からかい上手の高木さん

  • 1, 2, 3, 劇場版
  • 2018, 2019, 2021, 2022 / ラブコメ / シンエイ動画 / サンカクヘッド
  • 高木さんもめちゃくちゃ可愛いけど、西片がもっと可愛い。実は西片を観る作品だと思っている。
  • 劇場版は映画館で観た、満足度が高すぎて放心していた。クリティカルを喰らったもにょもにょ口がヤバい。
  • EDは気まぐれロマンティック、風吹けば恋、といった平成ヒットソングの高木さん cover。
  • 公式スピンオフの 元からかい上手の高木さん では、娘ちーとの幸せな家庭生活を描いていて、無限にカタルシスを味わえる。

☆☆☆ Just Because!

  • 2017 / 青春 / PINE JAM / 鴨志田一
  • 主人公の瑛太が父親の転勤で4年ぶりに戻ってくるところからスタート。親友の陽斗、美緒たちをはじめ、様々な友人たちと過ごす高校三年生を描く。
  • 複雑に絡み合う恋愛模様で、高校生の不器用で背伸びした感じが群像劇的に上手く表現されてると思う。
  • これもさくら荘のペットな彼女と同じ作者が関わっているんですね。作風が全然違って面白いなあ。

☆☆☆ その着せ替え人形は恋をする

★★☆ STEINS;GATE

  • 無印, 劇場版 負荷領域のデジャヴ, ゼロ
  • 2011, 2013, 2018 / SF, ミステリー / WHITE FOX / 志倉千代丸(ニトロプラス)
  • これに尽きる。
  • 13話以降の伏線回収がとにかく見事。
  • 結構カラーが強いので、観る人を選ぶとは思う。
  • 劇場版は牧瀬紅莉栖のサービス回。
  • ゼロに関しては、人によって意見が分かれる。個人的にはここまで観て岡部倫太郎という人間が描き切られると思う。

★★☆ 暗殺教室

  • 無印, 第2期
  • 2015, 2016 / 青春 / Lerche / 松井優征
  • ジャンプ作品でどれか1つ選べと言われたらこれになると思う。
  • 終わり方がとにかく綺麗。
  • 渚がバチバチにかっこいいのが萌える。カルマくんとの決闘シーンは胸熱。
  • 律の声は初音ミク藤田咲さん。

★☆☆ 魔法少女まどか☆マギカ

  • 2011 / SF / シャフト / 蒼樹うめ
  • ゆるふわかと思いきや、敵の表現がいわゆる高熱の時に見る夢見たいな、恐怖という概念をそのまま形にしたみたいな破茶滅茶で脳がバグる。UNDERTALEはまどマギの影響を受けてそう。
  • 観る前と観た後で印象が変わるキャラNo.1
  • 終始どこか厭世的な雰囲気が漂う。これがシャフトか。他にはない成分があるのは間違いないけど、元気のある時に観た方が良い。

★☆☆ SPY FAMILY

☆☆☆ RPG不動産

  • 2022 / SF, 日常 / 動画工房 / 険持ちよ
  • プロセカにハマっていた影響で、プロセカ声優のアニメを探してたらタイムリーなものがあったのでトライ。ファーが鳳えむの木野日菜さん。

☆☆☆ ヒーラー・ガール

  • 2022 / 青春 / Studio 3Hz / BNF, 3Hz, 入江泰浩
  • 同上。主人公が天馬咲希の磯部花凛さん。
  • 歌によって人々を治療するというプロット。一番の要になる歌唱力は素晴らしい。もはやミュージカル。
  • ただストーリーが結構単調で飽きてしまうのが残念。

★☆☆ 魔女の旅々

  • 2020 / 日常 / C2C / 白石定規
  • 若くして魔女となった主人公イレイナの放浪記。
  • 大きなストーリーはなくオムニバス的な感じなのでライトに観れる。
  • 師匠であるフランとの絶対的な信頼関係が良い。良い声だなあと思ったら CV 花澤香菜で、だんだん悔しくなってきた。

☆☆☆ くノ一ツバキの胸の内

  • 2022 / 青春, 日常 / Clover Works / 山本崇一朗
  • からかい上手の高木さんと原作者が同じ。本作では女の子が恥ずかしがる。
  • 男子禁制のくノ一で暮らす主人公ツバキたちの日常。優秀なツバキだが、男という存在に胸の高鳴りを覚えてしまう。
  • 3人1班で、干支に対応して12班ある。合計で40人近いキャラが出てくるが、ちゃんと個性があって比較的混乱しない。中学校の1学級のわいわいがやがやを見ている感じ。
  • OPは安心と信頼の ハイライト・ハイライト (the peggies)

☆☆☆ アマガミ SS, SS+ plus

★☆☆ 可愛いだけじゃない式守さん

  • 2022 / 青春, ラブコメ / 動画工房 / 真木蛍五
  • イケメン彼女の式守さんと、優しい小動物彼氏の和泉くん。
  • 登場人物が全員優しい。
  • 原作が大好きすぎたが故に、一部解釈違いなシーン(1話の看板蹴飛ばすシーン、8話で狼谷と猫崎が仲良くなるシーン)があり、物足りなさを感じてしまった。
  • それでも8話は良い。狼谷さん、僕は流行ると思うよ。
  • OPの ハニージェットコースター めっちゃ好きです。映像も良い。

☆☆☆ 阿波連さんははかれない

  • 2022 / ギャグ, ラブコメ / FelixFilm / 水あさと
  • 人との距離が測れない阿波連さんと、ナチュラルに頭がイカれているライドウくん。
  • 元々シュールなギャグを売りにした漫画だったので、映像化すると案の定厳しい感じになってしまった。桃ちゃん先生は花澤香菜を以てしても厳しい。

★☆☆ 明日ちゃんのセーラー服

  • 2022 / 青春 / Clover Works / 博
  • 念願のセーラー服を着て中学校に通う明日ちゃんとその友人たちの青春物語。
  • 登場人物が全員優しい。
  • 中学生らしい無邪気さ全開で、親のような気持ちになる。心の洗濯。
  • 絵へのこだわりが半端なさすぎるので、逆に人によっては不快感を覚えるかもしれない。
  • お母さんいい声だなあと思ったらCV花澤香菜

★★☆ リコリス・リコイル

  • 2022 / SF / A-1 Pictures / Spider Lily
  • 2022年のアニメといえば、これかぼざろ
  • 自由奔放な千束と、論理的に任務を遂行するたきなが、徐々にバディとして成長していく。
  • 毎週絶妙な緊張感と伏線が張られていく様がたまらなかった。バトルシーンも激アツ。
  • 故に日常のホッとするシーンでは二人の可愛さが際立つ。さかな、ちんあなご、コーカサスオオカブト
  • ED 花の塔 (さユり) が良すぎる。ライブ聴きに行った。
  • 昨年のVivyに相当する作品だと思う。

★★☆ サマータイムレンダ

  • 2022 / SF, ミステリー / OLM / 田中靖規
  • 死に戻り系。主人公の慎平は、幼馴染の潮の訃報を聞き故郷に帰る。他殺の可能性があると知り、島の伝説を解き明かしていく。
  • とにかく伏線がすごい。22話のあたりとかもうどうやったら思いつくんや。。
  • キャラクターも魅力的で人情に溢れている。慎平の聡明さと南雲先生のパッションには心が震えた。
  • 後半のOP 夏夢ノイジー (亜咲花) がドストライク。のんのんびよりShiny Daysと歌ってる人が同じとは思わなかった。
  • リコリコぼざろに並ぶ2022年の名作だと思うが、ディズニープラス独占配信という完全なるプラットフォームの選択ミスで売れ損なってしまった。

☆☆☆ 4人はそれぞれウソをつく

  • 2022 / ギャグ / スタジオフラッド / 橿原まどか
  • サイキック、忍、宇宙人、男の娘という秘密を抱えた4人の日常。完全なギャグアニメ。
  • とにかく関根が割を食っていて面白い。翼は可愛い。

★★☆ ぼっち・ざ・ろっく!

  • 2022 / 青春 / Clover Works / はまじあき
  • 2022年No.1作品
  • ぼっちに対する解像度が高すぎて共感がエグい。自分では1000歩くらいのつもりだったのに「1歩前進だね」って言われる気持ち、分かる。考えすぎて奇行をしてしまう、分かる。
  • 5話で相転移が起こり、そこからは毎週釘付けだった。
  • 文化祭のシーンとかもうライブじゃん、こんなん行きたくなるに決まってる。そのあと楽器買いに行くシーンも結構好き。
  • この魅力を支えているのが楽曲陣。音羽 -otoha- をメインに、草野華余子、北澤ゆうほ(元 the peggies)、谷口鮪(KANA-BOON)、中嶋イッキュウ(tricot) らが手掛ける。アルバム買ってしばらくずっと聴いてた。
  • 編曲兼ギターの三井さん本人が演奏している動画は見応え抜群。例のシーンもあります 星座になれたら
  • たぶんバンドをやったことがあると、さらにそこの解像度も味わえて面白いんだろうなと思う。羨ましい。
  • 原作を読むと喜多ちゃんがもうちょっとヤンチャしている。
  • 推しは星歌さんです。

★☆☆ けいおん!

  • 1期!, 2期!!
  • 2009, 2010 / 日常, 青春 / 京都アニメーション / かきふらい
  • ぼざろの影響で。
  • ぼざろよりもゆったりした日常系。主人公たちの可愛さを全面に押し出している。
  • 楽曲の良さはピカイチ。ギターを触った人なら誰しも GO! GO! MANIAC に挑戦したのではなかろうか。
  • 澪ちゃんが好きです。

★☆☆ 響け!ユーフォニアム

  • 無印, 2
  • 2015, 2016 / 青春 / 京都アニメーション / 武田綾乃
  • こちらもぼざろの影響で。
  • ぼざろよりガチの音楽系。吹奏楽コンクールで全国に行くという目標を夢物語でなく現実にするために練習漬け。
  • 同じだけ努力すれば、才能の違いが浮き彫りになってくる。その報われない気持ちが歪みとなってぶつかり合う。青春全開の王道ストーリー。
  • これも吹奏楽をやったことがあればより楽しめるんだろうなと。

☆☆☆ 理系が恋に落ちたので証明してみた。

★☆☆ ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん

  • 2023 / ラブコメ / 手塚プロダクション / 恵ノ島すず
  • ゲーム内のキャラクターであるジークたちと会話ができるようになった遠藤くん、小林さんが、ツンデレで上手く気持ちを伝えられないリーゼロッテを幸せにするために実況と解説でアドバイスしていく。
  • ふざけたタイトルだが結構面白い。当たりのB級映画を観ているみたいな。
  • 不穏展開ゼロなので安心して見れる。
  • リゼたんが可愛い。
  • 小林さんは花澤香菜、悔しい。

★☆☆ とんでもスキルで異世界放浪メシ

  • 2023 / ギャグ, SF, 日常 / MAPPA / 江口連
  • 異世界転生したが、固有スキルがネットスーパーという設定。使えないと思いきや、現代の美食技術によって伝説の魔物フェンリルが仲間になり、悠々自適なスローライフを楽しむ。
  • ご飯がめちゃくちゃ美味しそう。肉焼いて焼肉のタレかけたら旨いんよ。
  • 不穏展開なし。キャラもゆるふわで可愛い。疲れた脳によく効く。

★☆☆ ブルーロック

  • 2023 / 青春, スポーツ / エイトビット / 金城宗幸、ノ村優介
  • 最強のサッカープレイヤーになるため、エゴイストになってぶつかり合うデスゲーム。
  • 全キャラが個性を出してエゴイストとしてぶつかり合う。その中でしっかり主人公が主人公していくので、ワクワクする。
  • 常に続きが気になるような展開の仕方も上手い。こうなったら面白いよなというのを外さない王道展開と、期待を裏切る意外性のバランスが良い。

★☆☆ 結城友奈は勇者である

  • 2014 / SF, バトル / Studio五組 / Project 2H
  • 勇者部に所属する4人の中学生が、本当に勇者となってバーテックスと呼ばれる敵と戦う。
  • 戦いの代償が結構エグい、まどマギとはまた違った怖さがある。
  • 1期までしか観ていないが、もうちょっと頑張ってトライした方が良いかもとは思っている。

★★★ メイドインアビス

  • 無印, 劇場版 深き魂の黎明, 烈日の黄金郷
  • 2020, 2020, 2022 / SF / キネマシトラス / つくしあきひと
  • ゆるふわグロ系。友人に激推しされてトライ。
  • 大穴アビスにロマンを求めて旅をするリコとレグの物語。
  • 1期の10話がめちゃくちゃグロい。一度ここでギブアップした。なんでこんなシーン作ったんだよ。。
  • その後から一気に面白さが加速する。劇場版と2期では、人間の好奇心と倫理について深く考えさせられる。誰も悪くないなら、煮えきって濃縮された憤怒はどこにぶつけたら良かったのか。そしてそこに一つの解として存在するのが、黎明卿ボンドルドなんじゃないかと思う。
  • 1期の前半に出てくるオーゼンが優しくて好き。マルルク可愛い。この二人のスピンオフ作品「マルルクちゃんの日常」も良い。

☆☆☆ 異能バトルは日常系の中で

★☆☆ カワイスギクライシス

  • 2023 / ギャグ / SynergySP / 城戸みつる
  • ネコが可愛すぎて宇宙人が地球侵略を諦める話。ギャグ全開。
  • 華澄ちゃんのキレのあるツッコミが癖になる。
  • ジャンプ+で読めるが、隔週で意味不明な読み切りを連載している。

★☆☆ 久保さんは僕を許さない

  • 2023 / ラブコメ / PINE JAM / 雪森寧々
  • はいはい花澤香菜
  • 登場人物が全員優しい。とりわけ優しい。
  • お砂糖。とりわけお砂糖。

★☆☆ 僕の心のヤバいやつ

☆☆☆ マッシュル -MASHLE-

  • 2023 / ギャグ, バトル / A-1 Pictures / 甲本一
  • 魔法が浸透した世界で、魔法が全く使えないマッシュが、おじいさんとの平穏な生活のために魔法学校に通う話。
  • 筋肉で全てを解決する。脳筋ストーリーすぎて笑える。
  • 後半は結構しっかりしたバトルものになっていくので、前半のギャグっぽい感じを求めて観進めると物足りない感じがある。

★★☆【推しの子】

  • 2023 / 青春, ミステリー / 動画工房 / 赤坂アカ
  • 現時点で今年No.1作品。
  • 1話の迫力。これだけでも観る価値がある。演出凄すぎ。
  • 歌、ダンスなど、漫画では表現できない部分を補完しているのが凄い。
  • アイドル (YOASOBI) の歌詞も凄い。
  • 6話の誹謗中傷のシーンが、これでもかというくらいくどく続くのが良い。
  • 推しはかなちゃんです。

Bloch の定理 part 1 問題設定と主張

というわけで最初はバンド理論の基礎となる Bloch の定理について書きます 全部で3回くらいになる気がします

全パートのリンク:TBD

Bloch の定理

結晶中の電子系を考える.(一電子近似の)ハミルトニアン $ \hat{H} $ は

\begin{equation} \hat{H}=-\frac{\hbar}{2m} \nabla^ 2 +V(\hat{\boldsymbol{r}}) \end{equation}

$ m $ は電子の(有効)質量, $ V(\boldsymbol{r}) $ は(一電子近似の)結晶の周期ポテンシャルで, 結晶の基本ベクトル $ \boldsymbol{a} _ 1, \boldsymbol{a} _ 2, \boldsymbol{a} _ 3 $ の線形結合からなるベクトル $ \boldsymbol{R} $ に対して

\begin{equation} V(\boldsymbol{r}+\boldsymbol{R})= V(\boldsymbol{r}) \end{equation}

を満たす.

このとき,波動関数は第一 Brillouin ゾーン内の $ \boldsymbol{k} $ というベクトルでグループ分けされ, 各 $ \boldsymbol{k} $ のグループに属する波動関数 $ \psi _ \boldsymbol{k}(\boldsymbol{r}) $ は次を満たす;

\begin{equation} \psi _ \boldsymbol{k}(\boldsymbol{r}+\boldsymbol{R}) = \mathrm{e}^ {\mathrm{i}\boldsymbol{k}\cdot\boldsymbol{r}}\psi _ \boldsymbol{k}(\boldsymbol{r}) \end{equation}

一電子近似

かっこ付きで「有効質量」「一電子近似」という言葉を使いました.

結晶中の電子系は本来多体問題なので,多体のハミルトニアン

\begin{equation} \hat{\mathcal{H}}= \sum_{i=1}^N \left( -\frac{\hbar}{2m} \nabla _ i^ 2 +V _ \mathrm{L}(\hat{\boldsymbol{r}} _ i) \right) + \frac{1}{2}\sum _ {i\neq j} V _ \mathrm{C}(\hat{\boldsymbol{r}} _ i- \hat{\boldsymbol{r}} _ j) \end{equation}

で記述する必要があります(多体のハミルトニアンであることを明示するため,ハミルトニアンの記号をカリグラフ体にしました).$ V _ \mathrm{L} $ は結晶を構成する格子と電子の Coulomb 相互作用(結晶の周期ポテンシャル),$ V _ \mathrm{C} $ は電子同士の Coulomb 相互作用です.

しかしこのような相互作用を含んだ多体問題は一般には解くことができません(Fermi 粒子の性質を満たすような $ N\sim 10^ {23} $ の電子の波動関数を構成する必要がありますね).

そこで,なんらかの方法で一体問題へ帰着させることが考えられます.

その一つに,他の電子からの相互作用を結晶の周期ポテンシャルへ組み込むというものがあり,ここではそれを行ったとしましょう.

するとハミルトニアンは Bloch の定理のところで述べたような一体問題の和の形

\begin{equation} \hat{\mathcal{H}}\sim \sum _ {i=1}^ N -\frac{\hbar}{2m} \nabla _ i^ 2 +V(\hat{\boldsymbol{r}} _ i) \end{equation}

になります.各電子に対する方程式になれば,一つの電子に対するハミルトニアン

\begin{equation} \hat{H}=-\frac{\hbar}{2m} \nabla^ 2 +V(\hat{\boldsymbol{r}}) \end{equation}

に対して Schrodinger 方程式を解いて,Slater 行列式を作ってやれば全体としての問題が解けたということになるわけです.

注意点として,電子同士の相互作用を結晶のポテンシャルへ組み込むと,各エネルギーの総和によって全体のエネルギーを求めた場合,相互作用を二重にカウントすることになります(いつか実例を出します).

したがって,あくまでも「もしも電子系の中のある特定の電子に着目した時に,その電子の状態は一電子状態としてどういうものか」を考えたという認識でいる必要があります.

補足

なおここで行った近似の物理的な意味は,結晶の周期ポテンシャルに着目した(クーロン相互作用に比べて周期ポテンシャルの影響が大きいこと)ということです.

これとは逆にクーロン相互作用を強調したものがジェリウムモデルです.

両方の特性を考慮したモデルが Hubbard モデルです.

(ジェリウムモデルや Hubbard モデルは多体問題のままなので,なんらかの方法で一体問題に落とす必要性は残されたままだと思います.一応,一次元 Hubbard 模型には厳密解があります)

また一電子近似を行う代表的な手法として,Hartree-Fock 近似があります(これもいつか紹介したいです).

方針:ブロック対角化

では,この(一電子近似)ハミルトニアンをどのように対角化するか(固有状態と固有値を求めるか)を考えます.

このとき強力なサポートになるのが,結晶の持つ周期性(離散的な並進対称性)です.

量子力学では対称性があると,その対称変換を生成する演算子 $ \hat{S} $ とハミルトニアンが可換になります.

線形代数の知識から,可換な演算子 $ \hat{H} $ と $ \hat{S} $ は同時対角化することができます.

これは授業などで習ったことがある内容かと思いますが,これができるとどうして嬉しいのでしょうか.

それは,以下の2点からハミルトニアンの対角化が簡単になるからです.

1 片方ずつ順に対角化を実行すると計算量が大幅に落ちる

同時対角化できる演算子の片方を対角化し,線形空間を固有空間の直和に分解 $ V = \oplus _ {i=1}^ S V_i $ します. すると,もう一方の演算子についての全体の線形空間 $ V $ 中での対角化が,それぞれの固有空間 $ V_i $ ごとに実行できるようになります. これは元の線形空間に比べて次元が少ないため,圧倒的に簡単です.

対角化の回数が増えているからどうなんだ,という疑問に対しては,対角化に必要な計算量は行列のサイズ $ M $ に対して $ M^ 3 $ であることを踏まえると, $ S \times (M/S)^ 3 = M^ 3/ S^ 2$ となり,大幅に計算量が削減できていることがわかると思います.

2 対称変換を生成する演算子 $ \hat{S} $ の固有関数はよく知られている

さらに,一般に対称操作を生成する演算子の固有関数は簡単に構成でき,これらの演算子の対角化が簡単であるということも大切なポイントです.例えば並進対称性があれば固有関数は $ \mathrm{e}^ {\mathrm{i}\boldsymbol{k}\cdot\boldsymbol{r}},\ \boldsymbol{k} \in \mathbb{R}^ 3 $ です.可換な演算子 $ \hat{S} $ の固有関数が簡単に求められなければ,結局元の演算子 $ \hat{H} $ の対角化と同じだけ難しくて意味がないということになってしまいますからね.

上記を踏まえて,同時対角化可能な演算子の対角化において, 一方の演算子についての対角化を行って,他方の演算子の固有空間を部分的に対角化することを「ブロック対角化」と呼ぶことにします.

Bloch の定理は「ハミルトニアンの離散的な並進対称性に基づくブロック対角化ができる」と主張しているだけなのです.

次回は,この点に重きをおいて Bloch の定理を証明していきたいと思います.

参考文献

固体電子の量子論 | 浅野 建一 |本 | 通販 | Amazon

はてなブログでの数式の使い方として,以下を参考にしました(この記事はこれらの練習でもあります)

はてなブログで綺麗に数式を表示する方法(MathJax覚書き) - おはやし日記

はてなブログで数式を書く - 七誌の開発日記